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Pinterest HQ があるサンフランシスコへ
ーーどういった経緯でPinterestに行かれたのですか
1つ言えるのは、企業への応募は極論、レジュメを出すだけなので簡単にできます。そのため、気になったところ10社に出すという行為自体は難しくはありません。
そのような感じで、CMUを卒業した後に色々応募をし、オファーをいただいたところから行きたいところを探り、結果的にPinterestで働くことを決めました。
FacebookやInstagramなどの一般的なSNSでは、例えば昨日の出来事などの過去に起こったことに関する内容アップして、友達とコミュニケーションを取ることが多いかと思います。またTwitterでは、「今何をしているのか」という内容のつぶやきも多く、過去や今のお話が中心になるものです。反面Pinterestは、「未来の自分のために使うサービス」というイメージになります。
ーーCEOのデスクがちょこんとあったり、周りの人を見ても会社の雰囲気がとってもいいとvisitorの私でも感じるのですが実際はどんな感じでしょうか
CEOはすごく謙虚な人で周りのみんなを尊重する人です。そのカルチャーが浸透し、すごく謙虚で気を遣え、なおかつ頭いい人たちが集まっている環境だと思っています。
そのためすごく働きやすいですね。あとは会社によっては社内競争が強いところや、例えばエンジニアが全てといったような雰囲気の会社もあるところもありますが、Pinterestでいうと、みんなでリスペクトし合って、みんなでいいプロダクトを作ろうという協力的なカルチャーが強いと思っています。
またデザインも重視されているためオフィスもオシャレ感があるような雰囲気です。
ーー現在Koichiroさん自身は何を手がけているのか教えていただくことはできますか
グロースチームに所属しています。その中の通知チームというところにてアプリ内の通知やEメールの通知、プッシュ通知を全部うちのチームで管理していて、そこで仕事をしています。
ーー通知と聞くと、マーケティングとの連携をするのが1つの肝のような気がしますが、そういった業務もやられているのですか
そうですね。ただ、通知一つをとってもいろいろな切り口があって。
マーケティングの人がいる場合はそれ用のプラットフォームを用意することになります。
しかし今やっているのはレコメンデーションシステムを作ったり、スケールが必要なため、100人が例えばアクションをして一人あたり100人の友達がいるとしたらそれだけで相当な量の通知が送られるわけじゃないですか。
そういったスケールの問題であったり、ML(マシンラーニング)のエンジニアもたくさんるので、通知の頻度やタイミングもデータを解析した上でやっています。
総体的にはバックエンドが多いチーム編成となっています。
僕はフロントバックの両方をやるのですが、バックでいうと、レコメンドのML系とあとはスケールの問題に時間を割いています。
フロントの場合、アプリの中の通知のページやEメールのプッシュ通知など色々なことをやっています。
ーーPinterestで働くこだわりというのはありますか
大きすぎる会社は個人的に興味が薄いんです。テック系といっても規模はそれぞれ違くて、中には数万人の規模の会社もあります。
そういうところよりは、僕はより大きなインパクトを残したいというのがあるため、社員一人一人が活躍できる小さめな会社がいいなと思っています。
しかし、小すぎるとビザの関係があったりするため、そこも重視しながら会社を選びました。
Pinterestにいる人はみんな人がいいし設備も整っているし、僕のチームでいうと、チームでできるプロジェクトがすごく楽しいため、自分がまだ学んでいるなという気持ちです。
自分が成長できている環境なら残って学びたいなと考えていますね。
ーーPinterestにはスタートアップ色も残っているような気もしています
僕が入った頃はまだ300人弱でその時と比べると大きくなったなという気はしますが、それでもまだ個人が担う役割は大きいなと思います。
そういった意味で、スタートアップの雰囲気は残っていると言えるかもしれません。
Pinterest HQにあるボード。一人一人が何か意気込みやコメントが”ピン留め”されている。
シリコンバレーで仕事をする人の特徴
ーーソフトウェアエンジニアとしてシリコンバレーで仕事をするにあたって、どういった人が仕事を獲得している印象でしょうか
新卒で入るとなると、学歴が高い人が多いと思います。
例えばテックカンパニーの中でも、アメリカの大学の10校からしか主に採らないと決めているところもあるというのを聞いたことがあります。
10校からしか主に採用しないため、そこに入っているかいないかがまずスタンダードになってしまうため、そこが非常に重要になってしまうのかなと思います。
経験の部分では、インターンや自分のアウトプットは何かという部分も同様に見られると思います。
また、アメリカでは『大学でいい成績を残している』ことと『能力が高い』というのは日本と比べると比例すると考えられることが多いと思います。
日本は就職の際にGPAを考慮しないところが多いため、そういう観点では少し異なるかもしれません。
そのため、経験、成績、そしてアウトプットが総じて求められている気がします。
しかし最近では多くの企業があまり学歴や性別や出身なども聞かないようにしている動きがあるといいます。
それはバイアスを外すための活動として意識付けられていて、特にベイエリアなどではみんな平等という雰囲気があります。競争は激しいですが。
ただそうはいっても会社名も、何をしてきたかでも重要ですし、エンジニア採用であればテックインタビューが最も重要なため、コーディングができるというのが第一前提です。
また、エンジニアでのバリューの出し方は色々あると思っています。
例えば、プロジェクトを終わらせるスピードも大事ですし、着実な作業でミスを出さないという能力も重要で、いつも長期的なビジョンを持ち、チームのディレクションを行うときに頼りになるだとか、知識が豊富など、いろんなバーティカルでバリューを出すことが大事なので、どこかしら自分が出せるべきバリューがあるのが重要かなと思います。
チームのバランスも考えた時に、自分が立つべきポジションはここだ、というのを明確化し、そのフィールドで活躍できていくといいですよね。
やりたいことの見つけ方って? ~Pinterestエンジニアに聞く、『やりたいことの見つけ方』~
ーー学生時代からやりたいことはあったのですか
情報科を専攻する前は分かりませんでしたが、やっていくうちにモノを作るのが好きなんだなと思いました。
それとは逆に、これはウェブページを作っていた経験から分かったことなのですが、メンテナンスはすごく苦手だなと感じたんです(笑)
それこそ、大きい企業だと既にシステムが整っており、どちらかというと管理の方が大事になってくるという話を聞いたことがあります。
そこよりはやっぱり小さ目の会社の方で何かを作ることをして、インパクトがだせるという点にこだわっていきたいと思いますね。
そういった判断や価値観の発掘が、自分の経験からできるようになりました。
学生時代に様々なことに触れてみて、気が付くとどんどん好きになっていましたね。
ーー気付いてからはそれを軸にして行動していった感じなのですね。
専攻を考えていた時期に色々試すことができたのが良かったなと思いますね。
プログラミングに触れてみて、作ってみて、作り上げて管理してみて、好きなところは作ることだなということが発見できたので。
ーー色々かじってみるのは本当に大事なことだなと思います
実際、軸や理由は特にないにも関わらずみんなが言ってるから商社やコンサルや外銀に自分も行きたいと思うこともなんとなくあった気がします。
そんな感じで、会計士などの役立つ資格を取っておいた方がいいのかなと自分ではなく周りの考えに流されていた時期もありました。
事実、簿記も勉強してみたことがあります。しかし、そのようにかじってみると自分の向き不向き、好き嫌いがわかってくると思います。
最初から決まっていたというよりは、経験を重ねるにつれて判断できるようになってきましたね。
ーー将来的に何かやりたいことはあるのですか
実は色々ビジョンを持ってはいます。
小さい会社が好きなので、その視点を軸に今後のキャリアや自分が関わっていくべきことを考えていきたいと思っています。
また、小さい会社でインパクトのあるものを作って行きたいなと思っています。起業も興味がないわけではないですが、インパクトが出しやすい環境にどんどん挑戦していきたいというのが今時点の考えです。
ーーそれを達成する上で何か工夫していることなどはありますか
僕が心がけていることは、外部にいる人たちと話すことにより知りえなかった情報を得て、今自分は一番いい環境にいるのかというのを確認するようにしています。
それをすることにより、自分が今いるところが本当に自分の最高地点なのかというのを確認するということができるからです。
自分としっかり向き合い、常に一番いい環境に居続けるということが重要なのかなと思っています。
また、会社が守ってくれるという考え方ではなく、個人で戦えるのことが重要だなとも思っています。
自ら挑戦する環境に飛び込み、スタートアップを興して頑張っている人たちもいます。
そういう人たちを僕は本当に尊敬していますし、かっこいいなと思っています。そのため、これからは『個』が重要になってくると思っています。
自分が自分としてバリューを出せる人間でありたいなと思っています。
最後に一言、これから何か挑戦したい方へ対してメッセージをお願いします
アメリカで働きたい人へ向けてまずお話をすると、現地で働いている日本人の方が働けているパターンは結構区分できます。
主に見られるケースは、外資系に勤めてそれからアメリカに来るやり方と、アメリカの大学や大学院を卒業する方法かなとと思います。
現地採用の人もいますが、そういう人たちは大学院を出ていたり、突出したスキルを持っている人が多いです。
また、僕が大学院を出てよかったなと思う理由は、ビザ的な問題が少なかったことです。
卒業後にOPTを申請でき、まずはそれで働き、その期間で就労ビザとグリーンカードをサポートしてもらえたので、大学院は出てよかったなと思っています。
2年という時間はかかりますが、結果で見ると自力でグリーンカードを取ったりそれ相当の信用を得られるスキルを同時に鍛えることよりもむしろいろいろ学べた上でたくさんのものが手に入ったため、そちらで損したことは一つもなかったのかなと思います。
以上がアメリカで働く場合の話で、次は僕なりに、迷った時におすすめな方法をお話します。
何を勉強すればいいのか迷うとか、やりたいことがないという時も当然あると思います。そういう時は、取りあえず何かに手をつけてみればいいのではないかと思います。
例えば、ICUでよかったことは、冒頭にもお話しましたが、学部3年生から専門を決めらることです。それまでは逆に色々な科目を取らなければなりませんが、結果的には良かったなと思っています。
なぜなら、早い段階でたくさんのことを学べ、自分の好き嫌いや向き不向きが理解できるからです。
また、ICUはある意味アメリカのような文化があると思っています。
日本の大学はだいたい、高校生の頃に学部を決めなければならないことが多く、転部も容易ではないことが多いと思っています。
しかし、高校生の時点で専攻を選ぶなんてほとんどの学生がどう選んでいいかわからないと思います。
それに三浦くんの友人でも商学部からCSを学びにいくという人がいたりするように、入ってみてやってみて感じて、そこから決定した方が自分を理解した上での決定だと思うのです。
でも高校生の時にそれが選べたかというとそうではないことが多いです。
その意味で、その点少しアメリカ寄りのICUのシステムには本当感謝していますね。その時点は気が付くことは難しかったですが、今振り返ると本当に良かったなと思います。
迷った時、悩んだ時は色々なものにかじりついてみて、好き嫌いや向き不向きを判断していく。
その経験の量や、何かを試す機会を増やすことがやりたいことに出会うには必要なことかなと、自分の経験からは思います。