[前編] 教育分野でサンフランシスコで起業。懸ける思い




大手総合商社を辞め、起業へ。

——三菱商事をやめて教育関係で起業されていますが、昔から教育に関心があったのですか

友達には「熱血の先生としてやっていくのはどう」と言われることはありましたが、『教育!』というのは昔から自分では思ったりしなかったですね。

——教育に目覚めるきっかけでブログに少年との出会い話が書かれていましたね

そうですね。

社会人になって自分の人生について振り返る機会が色々ありました。

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その一つが、とある少年との出会いでした。

三菱商事でたまたま海外の研修生のような感じで派遣され、コロンビアに半年住んでいたことがありました。

コロンビアの国自体が外で接待するというよりは自宅接待の方が多かったので、必然的に所長宅に偉い人たちが集まって会食するんですよ。

その所長さんがせっかく色んな人がいるのだから、その日の働き様を子供に見てもらおうと考えて、子供に色んな人を会わせていたようなのです。

すると、その彼は13歳にも関わらず「新日鉄の人にも会ってあの人はすごかったです」と言っていて、「新日鉄!?」みたいな。

13歳でもう新日鉄を知っている。

さらには、「日本の多くの企業の人と会って、この人はこういう仕事をしていた、あの人のああいうところは魅力的に映ったけど、まだ中学生だから何になりたいかは明確じゃないんです。だけど、自分が何になりたいのかということを考えはするんですよ

というのを聞いて、本当に13歳かと驚いたことを覚えています。

——環境によってかなり変わってくるということですね。

僕自身、東京都葛飾区というエリアで育ちました。親は自由奔放に育てましたという感じで、それもいい部分ではあるのですが、「放り込まれる環境はやっぱり大事でした。

放り込まれる環境に前向きな人や意識高い人があまりいなかったりする場合は付和雷同でもないですが周りの人たち環境の色に近い影響を受けると思います

小中高と公立で過ごし、そう感じる場面が多かったです。


Connecpathはチャットボットを使用したエドテック分野のスタートアップ。現在は真田氏含めた3人で事業を行っている(内1人はアドバイザー)。教育への思いが弾けた、このスタートアップ創業についての思いを綴ったブログはこちら

——三菱商事での環境はどのような感じでしたか

いざ三菱商事に入ると、麻布や開成、灘から東大など、いわゆる「いいところ」で育った人が多くいました。

そんなある日、同期が同窓会の話をしていたので「どういう人と会ったの?」と興味本位で聞いてみたのです。

そしたら「医者、政治関係の人、マッキンゼー、ゴールドマンサックスでしょ…。」と、彼が答えていました。聞く人全て、いいところの人ばっかりで。

それ自体がいいのかというのは別にして、第一線で、ものすごく努力しないとなれない職業についている人がいることからこの人は昔から努力している人たちに囲まれていたんだろうなと思ったんです。

しかし、変に曲がっていることもなく、頑張ることに惜しげもなくやっている人たちで、こういう人たちを見ていたらやっぱり放り込まれる環境で差がついているなと思いました。

——たしかに中学生や高校生では自分で選べる範囲が狭い上、選択肢も限られている気がします

 そうだと思います。

大人になって、例えばサンフランシスコに来ようと思い立ってから実際に来れる年齢はやっぱり大学生や社会人になってからやっとのことが多いと思います。

高校生の頃に自分の力だけで何か切り開こうというのは相当勇気か強運がないと難しいと思います。

ティーンエージャーは自分で環境をいじれないことが多いため、入れ込まれた環境によって勝ち負けがでてしまうのはもったいないなと思うんです。

自分の経験を振り返っても、良い環境にいたとは言い難いため、環境によって損をする部分も少なからずあったなと思っています。

しかし、考えてみると自分のような人たちは世の中に少なからずいるはずです。

だから、そのような人たちに役に立つような、芥川龍之介の蜘蛛の糸ではないけれど、どんな環境にいようとも、上から蜘蛛の糸が垂れてきて「線がまず見え、そしてその糸をつかんだら行きたい場所へ上がれる」という環境に少なくともしていきたいなと考えています。

そういう意味で、機会の均等化といいますか、キャリアを前に進めようとするチャンスが誰にでもある情報もあるやるかやらないかはあなた次第という最低限の環境を作っていきたいんです。

そういう前提で『夢がない』『挑戦してこなかった』と言うことはできますが、その糸すら垂らさずして、何も機会が見えていない人たちに対して「君はだめだ」とかっていうのは違うのかなと思うんです。

こんな世の中に、何か変化を起こしたいなと思ったんです。

——三菱商事にいる時にアスデッサンという団体を設立されていましたね

キャリア教育関連のNPO法人を立ち上げました。

アスデッサンは「明日を自分でデッサンする」という意味で名付けました。

そこではキャリア教育を出前授業という形で、社会人が高校に行き「僕はこういう高校生でした」「将来はこういう風になりたいと思っています」「今の仕事はこういうきっかけで選びました」という話をしてもらっていました。

一見どこにでもいそうな社会人も、一人一人がすごく立派なストーリーを持っているので、それを語ってもらうことにより、高校生たちにそういう選択肢があるということを知ってもらいたかったのです。

また、インターネット上で性格診断をやると『あなたと価値観が近い人はこんな人!』という感じで、その人に近しい人のインタビュー記事が出てきて読むことができる『ロルモ』というものを作っていました。

ロルモ: 『ロールモデル』が名の由来。社会人が学生時代に悩んでいたことを、今同じ悩みを持つ学生に共有することによって悩みを解消し、人生を歩みやすくするというサービス。どうぶつ診断という機能もあり、自分に合った人や読みたいと思う人の記事をマッチングさせてくれる。

それらの活動を、6年間三菱商事と二足のわらじで行っていましたが、やっぱり自分には教育に関する思いがあるんだと確信しました

少年と出会い、会社の同期と会って環境は大事だだからチャンスは誰にでも与えられるべきだ

そのチャンスをテイクするかしないかと、選べるものにするまでをしていきたいという、自分の中での問題意識が膨らんでいきました。

一方、三菱商事はいい会社ではあるのですが、奥底から湧き出るパッションと関連した事業をやっているかと、自分の胸に手を当ててみると、答えはNOという結論に至りました。

自分の中で次の世代の人たちに選択肢を与えたいという思いがどんどん膨らむとは反対に、年収が良くて、世間体がよくて、安定の会社があって、どう折り合いをつけていくかというものを特に辞める直前はすごく悩みました。

でもやっぱり最後は、やっぱり1回だけの人生なんだから安住しているのでなく人生を懸けてやりたいことに全てBetしたいと思い起業を決意しました


NPO法人アスデッサンは、『”アス(未来)は何度でもデッサンする(描き直し)できる”を全ての中高生に』をテーマに活動しているNPO団体。サービス利用者はこれまでに50校と10,000人を越え、社会人の協力者も300人を超える。2011年に設立されて以来活動を続けられているそう。

起業を決断できた2つの理由

——思い切って決断できるところがものすごく強いと思います。それができたことにはやはり根拠というようなものがあったのですか。

2つ理由があります

まず1個目は、現実的な「お金」の話です。起業すると、収入がしばらくゼロになる。

しかも事業に個人資産を投じて、返ってくる保証はないです。

失敗したら、転職できるのか、年収は今と比べてどれくらい下がるのかなど、不安材料を挙げればキリがありません

三菱商事の様な日本でも有数の高給取りの会社にいたら、ぶっちゃけた話、なぜそれを捨てるのか、当然自問自答はあるわけです。

しかし、そういったお金の話だけで言えば、成功して事業を売却したり、上場すれば、ものすごい金額が手に入るのもまた事実です。

例えば、成功したら100億円を手にするとして、そこに、成功確率を3%とでも仮起きましょう。

すると、100億円×3%=3億円が期待生涯収入として算出できます。

次に考えるのが、失敗確率は97%。

失敗した場合はサラリーマンに戻ると仮定して、その後に転職してありつける職業の年収を800万円に仮置きしましょう。

起業失敗後サラリーマンとして20年働くとすると、800万円×20年×97%=1.5億円。

成功シナリオの3億円+失敗シナリオの1.5億円=4.5億円が期待生涯年収となるわけです

こうして見ると、起業は大してファイナンシャルなリスクはないんですよ。

親戚や友人から大きな借金などしなければ。

もちろんこれは数字遊びで、成功確率を何%と置くか、成功した時にいくら手に入れるかの前提をどう設定するかで、全然変わっちゃうんですけどね(笑)

そういう算数もありますけど、それとは別の観点で、スタートアップをやっていると、間違いなく能力が上がるんですよ。

実際、自分で始めてみて思ったのが、めちゃくちゃ能力上がったなと。

手前味噌でもなんでもなくて、スタートアップをやると絶対能力が伸びます

しかもCEOやファウンダーとして事業を行うと、全身全霊を込めてやらないと生きていけないのですごい勢いで仕事するし貪欲に成長を追い求めます

そうすると自分のキャパシティがどんどん上がっていくのです。

むしろ仮に失敗しても、転職価値が上がっているのではないかなと思っています。

三菱商事より高い会社か、スタートアップの役員などで着地すれば、年収で言ったら商事の2倍, 3倍になるんじゃないかなと。

むしろ起業するというのはステップアップだと思っています

しかし、ファイナンシャルリスクを気にする人は少なくないです。

失敗したら転職先がないのではないかと。でも自分は全く0と考えています(笑)

そんなリスクなんて0。上がるしかない。だからやる。それが1個目です。

ーーありがとうございます。もう1つは何だったのですか

もう1つ本当に大きかったのは家族の支えです。

僕には奥さんもいて、子供も2人いるのですが、色々話し合った結果、今は奥さんと子供は日本に帰り、自分は単身でアメリカで起業生活を送っています。

ただでさえ小さい子供の育児は大変なのに、異国の地で、帰国子女ではない奥さんが慣れない英語で、しかも旦那のサポートがほぼなく、生活費も削っての毎日など、とても耐えられる環境ではありません。

だから、事業が軌道に乗るまでは生活を別にしようということになったのです。

並の女性だったらこの決断を受けることは相当難しいと思います。しかも三菱商事という、何も不自由のない生活を捨ててまでのこの決断をサポートしてくれたので本当に感謝しかありません

始める時にはパッションとファイナンシャル部分を含めて、時間をかけてしっかり伝え、理解してもらいました。

 

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