【パナマの経験が国際協力へ】BtraxのPMが語る、常識を疑う大切さ





Kisa Nakashima 氏: 幼少期に香港、ロサンゼルス、パナマに3年間ずつ住み、9歳の頃に大阪へ。早稲田大学政治経済学部卒業。卒業後は物流業界で3年間貿易関係の仕事に従事し、同時にNGOの活動に関わる。その中で国際協力やマーケティングの分野に惹かれ始める。その後UCバークレーのエクステンションプログラムにてマーケティングを専攻。サンフランシスコにあるBtraxにインターンとして働いた後、入社。現在はデザイン思考を使った新規事業の立ち上げ支援を行っている。

NGOとの出会いと留学

——NGOの活動に携わることになった経緯を教えてください

イベントサイトでジャズイベントのようなものを発見し「面白そう」と思い、イベントに参加したことがきっかけです。

その時は知らなかったのですが、それは参加費をチャリティに回す、いわゆるファンドライズのイベントでした。

参加した時に初めてNGOの活動の仕組みや内容を知ったのです。

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また、NGOがファンドライズのために国際協力やNGOなどに興味がない人に向けてイベントやるということにすごく面白味を覚えました

その団体がちょうど活動を一緒にやりたい人を募集していたので志願して入り、そこから活動に関わらせて頂くようになりました。

ーーNGO自体はどういうことをされているところだったのですか

国際協力に興味がない人へも、「日本のNGOはこういう活動をしています」というのを知ってもらうためにドロケイやアフリカの料理イベントなど、『国際協力』というワードで集めるのでなく、もっと多くの人に反応してもらえるように、幅広い種類のイベントを行っていました。

その中で来てもらった人に対して団体の紹介をしてNGOの活動を広めると同時に、参加費をチャリティに回して、寄付の意義を知ってもらうということもしていました。

NGOの活動やイベントで自分自身も楽しむことができ、そしてまた寄付の意義やNGOを多くの人たちに知ってもらうというところに達成感や充実感を感じていました。


ビジネスコールツーアクションという団体にて様々なプロジェクトに関わる。

自分が活動する側としてNGOでやっていく中で、さらに関心を持ち調べていくと例えばイベントを開催して人を集め、活動を広めることは、要はNGOのマーケティングの1つだと知りました。

多くの人に活動を知ってもらえるかどうかというのは、NGOのマーケティング施策によって結果が変わっていく

マーケティングを頑張らなければ多くの人にリーチできずに終わってしまう。しかし、マーケティングをやればやるほど人が集まり、より多くの人にNGOの活動が広まります。

そこから、マーケティングという技術がすごく面白いなと感じ始めたです。

ーーNGOという分野だけでなく、マーケティングに対する熱が出てきた瞬間だったのですね

当時私は、NGOでアフリカ向け商品開発のビジネスを大手食品会社と連携してやっていました。

乳幼児のための離乳食を作っているような部署と一緒に活動をしており、その商品を広めるのもただやみくもに広めるのではなくて、マーケティングの技術や知識があればより多くの人に広まるし、何よりもっと楽しいのではないかなと思うようになったのです。

マーケティングを本気で勉強したいというのと、ちょうど留学したいなと思っていたタイミングが重なり、UCバークレーのエクステンションプログラムを受けることに決めたのです。


UC Berkeleyのエクステンションプログラムの一部。1年間で構成されており、それぞれビジネスやマーケティング、ファイナナンスなど好きなコースを専攻できる。最後の4ヶ月はインターンシップが課されているため、アメリカの土地にて実際に仕事をすることが可能となっている。

マーケティングに関心を持ち海外へ

——大学院ではなくバークレーのエクステンションを選ばれたのですね

MBAももちろん興味があったので調べてはいました。しかし、MBAを取得するには莫大なコストや時間がかかってしまうと考えました。

しかし、留学で海外に行きたいだけかと言われると、マーケティングを勉強するのが目的でしたので語学留学に行くのも違うなと思いました。

自分で設けていた条件に当てはまるものはないかなと引き続きネットで探していて、バークレーのエクステンションプログラムを見つけたのです。

そこではマーケティング含めたBusiness Administrationが勉強できさらにインターンもできるということで、当時の自分にピッタリだと思ったので選択しました。

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ーー昔海外に暮らしていたこともあって英語にはやはり苦労はなかったのですか

9歳の頃に日本に帰ってきてから英語を『話す』という機会は多くなかったので英語を勉強しないとと思い、留学を決めたタイミングで、当時勤めていた仕事をやめ、英語を使う仕事を始めました

また、外国人が住んでいるシェアハウスへ引っ越して、英語を勉強する環境に自分を置くようにしました。

——1回仕事を変えているのですね。どういったことをされていたのですか

国際協力に興味があったので政策研究大学院大学というところに勤めていました。

そこは普通の大学院とは異なり、官僚の方々が政策策定などの領域でマスターをとるための研究機関色が濃いところです。

政策研究大学院大学のHPより。

当時行っていたことは、IMFがアジアの途上国の中央銀行で働いている人たち、例えばインドやカンボジアいる人たちを日本に呼んで、マクロ経済学のマスターを取得させるというプロジェクトの運営に関わっていました。

色々な国から来た人が多かったこともあり、これまでNGOで見てきた以外の国や文化から改めて「国際とは何だ?」というのを考えさせられたので非常に良い経験であったなと思っています。

ただ、そこで働く人たちはインド人やバングラデシュから来た人が多かったためみんなカレーのにおいがして、もはや「建物全体にカレーのにおいが漂っているんちゃうか」と思う、そんな一面もありました(笑)

エクステンションインターンシップでBtraxと出会う

ーーBtraxにはバークレーのインターンプログラムで入られていますが、他の企業とは迷わなかったのですか

全然迷わなかったですね。

インターンをする際に、バークレーが提携しているリスト表を渡され、『A会社=ファイナンス』『B会社=エンジニア』といったように、分野でくっきり分かれているのです。

自分自身、マーケティングを学びたかったので、マーケティングの分野の企業に注目して見ていたらBtraxが目に入ったのです。

ちょうどBtraxがアジアマーケティングを中心にやっていて、やりたいことも興味地域も被っていたので迷わず応募することに決めました。


Btraxはサンフランシスコに本社を置くグローバルイノベーションコンサルティング会社。デザイン思考やUXデザインに強みを置き、日本企業へのサービス開発の提案や助言を行っている。個人的な話ですがサンフランシスコへ来たばかりの時はFreshtraxという、Btraxが持つメディアにお世話になっていました。

——そこから正社員になられていますね

そうですね。

インターンの最初の頃はリサーチが中心でしたが、そのうちマーケティングの仕事にも関わらせて頂けるようになってきたのです。

その中でアメリカの大きなローカライズの業務に関わることがあり、それをやってみると、仕事として面白いなと感じ始めたのです。

それ自体も面白かったですし、またマーケティングの面白さも見出せ、純粋に「ここで働きたいな」と思ったんです。

その思いを伝えると、幸いなことに社員の一員に加えて頂き、ここで働かせて頂いています。

——今までBtraxではどんなことをされていたのですか

マーケティングアソシエイトとしてはマーケティング関連のプロジェクトをやっていたり、日本でクラウドファンディングをやっている企業に対して、アメリカでクラウドファンディングをして活動を広めていこうというようなプロジェクトを行っていました。

Btraxでは、大きく2つのサービスを提供しており、マーケティングやサービス・プロダクトのローカライズを支援するグローバルデザインコンサルティングと、サービスの開発を行うイノベーションブースターというサービスがあります。

元々NGOのマーケティングに興味があったので最初はグローバルデザインコンサルティングでマーケティングやファンドライズに関わっていたのですが、途中からサービス開発の方へ移りました。

ーー部署を移られているのですね

はい。

関わっていくうちに、「人にどうものを伝えるかというよりもそもそも何を伝えるか」という根本の問題解決の方を重要視するように思ってきたからです。

NGOの活動をどうみんなに普及させるかというところに元々興味はあったのですがそうでなく、そもそも何をどう解決していくのかという部分です。

NGOでなくてビジネスとしても、そもそもどう社会問題を根本的に解決していくのかという方が大事だなと思うようになっていったのです。

サービス開発で行っていることは、デザイン思考と言われる考え方やUXデザインをもとに、ユーザーが本当に欲しいものを考えて日本の企業様と一緒にサービスを作っていくことです。

問題の根本的な解決はこういった上位レイヤーでのアプローチが必要だと思い、途中からはイノベーションブースターというサービス開発を行う部署に身を置いています

ーーマーケティングに関心が強かったと思ったのですが開発側へ移ったのには理由があるのですか

マーケティングの結果はすべて結果論の一存なのではないかと思ってしまった部分があったのです。

色々策略しても、変動要素が多く、今後100%再現することが困難ですし、もし当たったとしてもたまたまタイミングや条件がよかっただけなのではないかと考えるようになってしまったからです。

外部的な環境やトレンドやユーザーの定義などを時間をかけてしっかりと行っても、実は違うターゲットにガツッとはまったりすることもあります。

やってみなければ結局わからないし、マーケティングをやって定義をしても、結果に直接結びつくのとは違うなと感じてしまい、疑問を抱くようになってしまったんです。

もちろん、私の経験不足からきちんと結果に結びつく戦略策定ができていなかった面も大きいとは思っています。

——移ってからの部署でのやりがいは何ですか

デザイン思考を通じて、日本の企業様へ対してユーザーの視点を持ったプロセスとマインドセットを教えることでユーザーが本当に必要としているようなサービスの開発を一緒にしています。

それ自体すごくやりがいがありますなぜかというと、マインドセットさえ変われば物事は180度変わると思っているからです。

日本企業はこれまで
技術オリエンテッドで発展してきた企業が多く、イノベーションには少し距離が遠い部分があるように感じられました。

しかし実際、日本の企業の技術開発力はものすごく高く多くの人が高い志や向上心を持っていると心から感じます

だから、関われば関わるほど何か新しいことやモノができそうだなと確信しています。

だから私はマインドセットの側面から少しでもそこに協力し、一緒に行うことで変化を見ていきたいなと思っています。それから先の変化というものが今は楽しみで仕方がないですね。そこにやりがいを感じています。

将来的には国際協力へ

——国際協力に対する気持ちは変わらず強いと思うのですが、先々はやはりその方向でキャリアを考えているのですか

そうですね。

NGOに興味を持った時点で自分はどの業界にいたいとか、何に関わって生きていきたいかというのが自分の中で固まった気がしているんです。自分が小さいころから国際経験が豊かなことも関係していると思います。

ーーそういえば幼少期は多くの国で住まれていたご経験がありますね。

物心がついたころにはパナマにいたのですが、当時のパナマは中発展国という印象を受けました。

都心部とスラムが隣接しているんです。だから比較的安全な街からでも、車で10分も走るとスラム街に入ってしまうんです。

それって今思えば、世界の縮図なんだなと思います。

都心部はすごい発展していてまるでマイアミのようです。もし日本人として駐在で住んだらプール付きのビルに住めるかもしれません。

しかし外へ出て車で少し走ると、今度はストリートチルドレンがいるのが当たり前になります。車をノックしてきて「フルーツ買うてや」と言ってくるんです。

その時に、「その子たちと私たちの生活は何でこんなに違うんだろう」とすごく不思議に思ったのです。

普通に日本で生活していたら、世界には貧しい国と豊かな国があるというのを知識で教えられたと思うのですが、知識として知る前にそれを体験として目の当たりにしたというのがあるので単純に何でなんだろうという思いがあります。

パナマ1人当たりのGDPは9,990ドルほどと言われている。(日本は45,000ドルほど)比較的中南米では安全とは言われているものの、まだまだ都市部とそうでない部分の格差が残っているようだ。しかし2017年には都市開発が大きく進み、移民を受け入れる体制を準備しているという。

ーーではゆくゆくは国際協力の中でも貧困層を救うようなことに関わっていくのですか

私自身全然正義感は強い方ではなくて、助けたいという気持ちよりも何で違うんだろうという疑問があります

何がこんなに違っているのだろうみんながハッピーになるためには何をしたらいいのだろうみんながハッピーになるとはどういうことなんだろう

そういうことを自分に問い、考え、そしていずれは貢献していきたいと思っています。

漠然と思っていたときにNGOで活動してみたことによって「やっぱり自分はこういうことがやりたいんだな」と感じました。

ミッションというと大きいですが、自分が将来的にそういうことに関わり、そういうことをやっていくのだろうなとは思っています。

しかし、自分の気持ちや思いだけを分かっても、今の私がその領域にどう貢献できるのかと考えた時に、自分が今できることはないなと感じてしまったのです

何の能力も持っていないし、どこかの分野のプロフェッショナルでもない。

だからせめてマーケティングの専門でいこうと思ったのですが、結局はそうではないと感じてしまいました。

その代わり、課題解決をするデザイン思考やユーザーの面から自分は関わっていきたいんだなと感じるようになりました。

だからこれまでで、「何に関わりたいのかが分かった」そして、「どう関わりたいというのかが分かった

あとはそれをいざ実践する段階なのかなと思っています

どういう仕事なのかというの具体性を伴ったものではないかもしれませんが、私が関心を持つ途上国開発にデザイン思考や従来にないような課題解決法を使って貢献していきたいなと考えています。

最後に一言、メッセージをお願いします

今の仕事の上司を、私は恩師だと思っています。

その方が何を教えてくれたのかというと、すごく単純ではあるかもしれませんが当たり前だと思っていることを疑い、「自分が何を考えるのかにこだわるということを教えて頂いたのです。

それを実践するようになってから成長したなと感じています。

例えば、世の中の8,9割の人が地球は丸いと言っても「本当にそうなの?」と考える。そこに自分の考えが落ちているため、自分がどう思うかにこだわることはすごい大事なことだと思うのです。

個人の意見が出しにくい状況や、「言われたから従わなければならない」という場面も人生長いので少なからず出てくるとは思います。しかし、自分で考えるのをやめてしまうといずれは自分の考えや意見が出にくくなってしまいます。

なので、もしそういう場面に遭っても、「とにかく考え続け、自分だけは自分の意見を尊重してあげること

自分の考えに耳を傾けて、何事にもいい意味で懐疑心を持って接し、自分で考えるというのがこれから大事になっていくのではないかなと思うのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

サンフランシスコ・シリコンバレーに留学していました。 現地では人生を懸けて戦うシリコンバレーの日本人の生き方を日本にいる人たちに伝えたいということからインタビューをしていたり、学生がシリコンバレーの情報を継続的に届けているメディアなどがないと思い、その時からブログを運営し始めました。 現在は経済学部4年生をやりながら、六本木でPMをやらせてもらっています。関心分野はシェアリングエコノミーとブロックチェーンで、女性権利問題に大きな課題や憤りを感じています。優しい社会を創りたい。