Macy’sのディレクターが語る、小売業界のこれから




数学の苦手意識から言語学へ。データアナリストの職へ

ーー卒業後は就職活動をされていますね

博士課程を無事終え、大きなゴールを達成することができました。

博士号を取り、自分の得たかったものが得られたので企業に就職することを決めたんです。

博士課程の一環なのですが、イエールではティーチングアシスタントとして学部生に教えることができ、貴重な体験をさせていただきました。

ただ、助教授、そして教授としてアカデミアに残ることは自分には合わないと思ったので考えなかったです。

当時は言語学のバックグラウンドで職を探すのは今よりも需要が少なく、大変でした。

そのため、アメリカ国内で私が気になっていた企業には片っ端から申し込んでいきました

ーーそれからサンフランシスコに移られたのですよね

そうですね。採用してくれたのがサンフランシスコにある会社で、言語学ととても接点のある仕事だったんです

業務内容は法律に関するもので、また法律に戻るという偶然もありました(笑)

言語学者として雇われたため、クライアントの裁判内容に関連のある文書のみをリターンし、複雑化に耐えうるサーチタームを作ることが仕事でした。

何年かそれに携わったのですが、面白かったですね。

その後に就いた仕事がビデオの検索エンジンにデータ分析の領域で関わるものだったのですが、その仕事がまたとても楽しくて。

サーチクオリティという仕事だったのですが、サーチエンジンの中でしっかりと最適化された結果が出ているのかという分析を行い、それをエンジニア側とコラボレートしつつ進めていました。

また、同時にページビューやウェブアナリティクスの分析を行うにつれ、すごく面白いなと思ったんです

それがきっかけで、データ分析やWeb Analytics分野に入ろうと決めたんです。

それを数年行った後、Macy’sに転職しました。

Macy’sに転職してから

ーー現在はどういったことをされているのですか

リテール業界、そして顧客データがフォーカスなので、前職までとは異なります。

Macy’s に転職した際、マネージャーとして新しく発足したチームを任されたので、初めの1, 2年はチームメンバーを増やすこと、レポート・ダッシュボートの作成や色々なテーマ分析が中心でした。

イベントやキャンペーンの効果がどのくらいあったか」とか、「若い世代はどういうものを買っているのか、どのようにターゲティングすればいいのか」というような分析を中心にやっていました。

Macy’s: ニューヨークに本店があるアメリカ合衆国で最も大きいショッピングモールの1つ。

ーー今のお仕事の中で楽しいと思う瞬間を教えてください

博士論文を書いていた時も思ったのですが、データというのは最初は数字の山じゃないですか。

それをまとめていくうちに形を変え、今度はグラフや資料になり、そのグラフや資料を基にしてストーリーを紡ぎ、人に伝えていくという一連の流れがすごく好きです

ーー僕もインタビュー 記事を作る際に同じことを感じます(笑)初めは散らばってしかいなかった文字たちをまとめ、人に伝わる1つの情報になるという過程がすごく好きです

何もないところから浮かび上がるという感じですよね。無秩序の数字の海から形が見え、表すべきものが出てくるという。

ーーデータサイエンティストは数字を扱う仕事ですが、その数字を1つ間違えるだけで全てのストーリーが一貫性を持たなくなってしまうというところにプレッシャーがありそうと感じます

そうですね。数字1つ1つに一貫性があるため、1つでも間違えるとデータとしての価値がなくなってしまいます

そのため心がけているのは、疲れている時にはデータ系の仕事をしないこと小さい休憩を入れ、根を詰めないことなどです

あとは、すべて1人でやらずにチーム内の複数人でチェックすることを心がけています。

タスクを振るにしても、1プロジェクトにつき1人というのは個人的には好きではないんです。

どちらかというとチーム全体で仕事をすることを大事にしています

人間誰しも疲れる時はありますし、トンネルビジョンというのですが、視野が狭まると見えるべきものが見えなくなってしまいます

いつも同じことばかりやっていると、悪い意味での慣れができて見えるべきものが見えなくなる状態になりやすいと思います。

ただやっぱり、数字を間違ったら全てが台無しになりますので、いつも緊張していますよ(笑)。

データを送るたびに、またはプレゼンするたびに、「間違いがないな」といつもチェックしていますね。

例えば私のチームが「60%の男性は⚪︎⚪︎という商品を購入する傾向がある」という結果を打ち出したら、その数値的な結果をCEOやCMOなど上の立場の人がいつどこで参考に出すかわからないですからね。

なのでどんなに小さなプロジェクトでも、120%正確なものを作らなければならないという責任感がありますね

ーーマネージャーから始まり、現在はディレクターとしてマネジメントを務められていると思いますが、チームマネジメントの点で苦労したことはありますか

ディレクターの役割の中でマネージャーと一番違うところが、マネージャーをマネジメントする点ですね。

マネージャーの時はアナリストをそれぞれ指導していたのですが、ディレクターはチームをまとめているマネージャーを指導するようになります。

そういう意味で、責任も大きくなります

私はメンタリングがとても好きで、チームメンバー1人1人のタイプや長所・短所を理解した上で、「このメンバーはこういう性格だからここを伸ばそうというプランを立て、指導しています

また、洞察力は高い方だと思っているんです。普段のやりとりやプレゼン、ミーティングなどで「この人はこういう傾向があるのだな」と観察・把握するのが得意ですね。

メンタリングを活かして、メンバーたちが活躍してそれがプロモーションに繋がれば、とても嬉しいですね

そういったことがこれまで何度かあって、まるで育ての親の気持ちです(笑)。

リテール業界への関心

ーー小売業界の動きを内側から見ていて、今後の動きとして関心がある事柄はありますか

ネットショッピングの影響を受けたブリック・アンド・モルタル(brick and mortar/店舗)に於いて「いま現在存在している店舗がどう変わり、進化していくのか」ということに興味があります。

ショッピングモールが消えるのではないか」という意見も聞くことがあるのですが、私は消えないのではないかなと思っています。

特に男性の意見で「モノは触ってからでないと絶対に買わない」という話をよく聞きます。特に男性は実際見てみないと買わないという人が多いと言われているんです。

今のネット時代でも商品にもよりますが、ネットでは買わないという人は少なからずいると思います

そういう人たちがいる以上、店舗自体がなくなるのはかなり難しいのではないでしょうか。

また、アマゾンが今現在店舗を展開しているように、ネットショッピングが当たり前の今だからこそ、実際に手にとって商品を見る機会を提供する、というのが小売においては非常に大事なのではないかと思います

もう一つ興味があるのがモバイルですね。スマートフォンを使った売り上げが今すごく伸びているんですよ。

どの業界にも言えることなのですが、そこは飛躍的に伸びているため、注目の分野でもあると思っています。

Amazonの実店舗である”Amazon go”の第1号店が2018年1月にシアトルでオープン。実際に足を運んで体験してきました。

ーー 僕も小売業界に興味を持っているのですが、その理由はほぼ毎日触れるものであり、身近だからだと思います。

確かに身近なもの、そして自分の経験に基づくものに人は関心を持ちやすいですよね

私は現職でカスタマーデータやストラテジーを扱っていて思うのですが、自分だったらどうして欲しいかという視点はとても役に立っています。

私自身がカスタマーなので、身をもってこういうことだろうと理解できるというのがあります

これが自分で直接経験のないエンタープライズ領域のものだったらまた違う感覚を持っていたと思うんですよ

その場合、自分に置き換えて考えるのは難しいのではと思います。

これからのこと ~将来の話~

ーー先々何をしていきたいのかを教えてください

仕事の中で、自分が好きなものが2つあります

1つ目は「チームを作り、マネージする」といったリーダーシップ・メンタリングです。自分に合っていると思いますし、マネージャー的なことはやり続けたいなと思っています。

2つ目は、先ほどもお話しましたが、「データからストーリー、そしてストラテジーを引き出す」という作業ですね。

その2つを続けつつ、その中で進歩していければいいですね。

領域としては、これからもデータの分野に関わりつつ、ストラテジー方面にもっと進みたいなと思っています。

そのため、オープンな姿勢で行こうと思っています。

最後に、海外の大学院へ行きたい人に対してメッセージをお願いいたします

基本的なスタンスとしては、やりたいことには飛び込んでみるということです

特に、若いのであれば修正が効くと思うんです。興味のあることをとりあえずやってみる姿勢でいいのではないかと思います。

アメリカの修士課程は2年間のプログラムで内容が決まっていることが多いですが、始めるにあたってそこまでプレッシャーを感じる必要はないと思います。

ただ、やはり博士課程となると強い決意と覚悟が必要になってきます。

決意を持って始めたなら最後まで頑張って欲しいですね。目標を持って挑戦してもらいたいと思います。

ただ現実はなかなか厳しく、どの課程、どの専攻に入ってもドロップアウトする人が多いんですよ。

例えば博士課程に入って4年後にドロップアウトする人もいますが、そうなるとそれまでの4年間の努力が消えてしまうような気がして、もったいないと思います。

だから「やるからには頑張って欲しいな」と思っています。今何か勉強して将来活かしたいと思えるものがあるなら、迷う必要はありません

どんどんチャレンジしていってください。

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ABOUTこの記事をかいた人

サンフランシスコ・シリコンバレーに留学していました。 現地では人生を懸けて戦うシリコンバレーの日本人の生き方を日本にいる人たちに伝えたいということからインタビューをしていたり、学生がシリコンバレーの情報を継続的に届けているメディアなどがないと思い、その時からブログを運営し始めました。 現在は経済学部4年生をやりながら、六本木でPMをやらせてもらっています。関心分野はシェアリングエコノミーとブロックチェーンで、女性権利問題に大きな課題や憤りを感じています。優しい社会を創りたい。